指導員のあそびの専門性とは?
ただ子どもと遊ぶだけなら、誰でもできる。
正月に集まった「親戚のおじさん」でも子どもとあそぶ。
その違いは何か?
ぎゃーっ‼
難しい話になってきた…
学童保育で指導員は、ただ子どもとあそぶだけじゃだめなの?
そうね。
ただ漠然と子どもと遊べば指導員の仕事が成り立つと思っていたら、それは間違いね。
でもそれを言葉にするのは難しい…
うむうむ。
あそびの専門性とは何ぞじゃ?
ここを追求せねばのう…
このストーリーは、学童保育指導員になった「いおぴいなつ」が学童保育のことを学び、成長していく姿を描いた愛と勇気と感動が詰まった物語です。
舞台はロールプレイング・ゲーム内の「たまねぎがくどうクラブ」です。
学童保育の基礎から応用までのすべてを、最高にわかりやすく、たのしく習得できる最強のバイブルです。
学童保育をゼロから学びたい…
わしと一緒に学ぶんで学童保育のすべてをマスターするぞい‼
なんだかたのしくなってきたわね♪
学童ほいく☆ますたーへの道の扉が今、開きました。
学童保育の仕事に携わるきっかけは、さまざまです。
このストーリーに興味をもったアナタも運命の人…
あそびの専門性とは?
学童保育指導員はただ子どもと何気に遊んでいるわけではありません。
指導員は専門性に基づいて子どもと遊びます。
えーっ⁉
そーなの?
ぼく何気に遊んでいるだけだった…
その専門性は学童保育指導員ならではのものです。
知識として、イメージとして、学童保育指導員として、新人のうちからその専門性を理解しておくことが重要です。
そうね。
ただ遊んでいるだけの仕事って思われるのもイヤよね
今回はその専門性をざっくり3つお伝えします。
- ①子ども同士の関係づくり
- ②安全面の配慮(危機管理)
- ③子どもの主体性
ざっくりと3つ‼
これが「学童保育指導員と親戚のおじさんのあそびの専門性の違い」につながるんじゃのう…
①子ども同士の関係づくり
指導員は子どもとただ遊んで、「ただ楽しく過ごせばOK…」ではありません。
子ども同士の関係性を考慮して、適切に遊びを促したり、指導したりすることが指導員に求められます。
子ども同士をつなげるのじゃな
つなげる?
関係づくり?
例えば、鉄棒でキュウリくんと指導員が遊んでいます。
キュウリくんがもう少しで逆上がりができそうだけど、できないというケースです。
その時に指導員は、少し離れたところで遊んでいたカボチャくんに声をかけます。
おーい
カボチャくーん
キュウリくんに逆上がりを教えてあげてくれんかのう?
という感じです。
これが指導員の高い専門性のひとつです。
指導員がキュウリくんに逆上がりを教えても、もしかするとキュウリくんは逆上がりができるようになったかも知れません。
そこがポイントです。
あえてカボチャくんに声をかけることで、子ども同士の関係づくりのきっかけを与えます。
子ども同士の関係性を深めるきっかけをさりげなく指導員が与えます。
演出家じゃのう
あえて…
なるほど
これは、日頃からのキュウリくんやカボチャくんの性格や関係性も考慮しているからこそ、できる技ね。
そう、そこが「親戚のおじさん」とは違う、学童保育指導員ならではの専門性じゃのう
これは一例です。
日頃の子ども同士の関係性を考慮したり、一人ひとりの状況に応じたかかわりを遊びを通して行う。
これこそが指導員の専門性です。
- ドッチボール中。キャベツくんに気を使ってボールをすぐにキャベツくんに譲ってしまうレタスくんがいいます。そこで指導員が技と当てられて外野にいく。その後、指導員がボールをとると外野からレタスくんにパスをする。そして「レタスくん投げてー」と指導員が言う。キャベツくんとレタスくんの日頃からの関係性をよく知っている指導員だからできることかも知れない。
- 絵を描くのが上手なジャガイモちゃんと遊んでいた指導員がそこにニンジンちゃんを誘う。ジャガイモちゃんとニンジンちゃんは3年生になったあたりから一緒に遊ばなくなっていた。以前に指導員とニンジンちゃんで絵しりとりして盛り上がったことがあり、今回このタイミングでジャガイモちゃんとニンジンちゃんが一緒に絵しりとりをする機会をつくる。
遊びを通して、子ども同士の関係づくりを意識します。
何気なく遊んでいるようにみえても、実は違うのじゃぞい。
ただ、その場で適当に遊んでるのとは違うんだね。
これを意識的にすることが大切ね
日頃から子どものことをよく観察し、子どもたち一人ひとりに応じた適切なかかわりと働きかけが大切となります。
②安全面の配慮(危機管理)
指導員はただ危険がないように安全を見守って遊んでいるだけではありません。
そこには遊びながらでも高い危機管理能力を持って子どもとかかわる指導員の姿があります。
遊びながらでも危機管理能力…
そんなこと
できるのー⁉
指導員は子どもと遊びながら、子どもの安全を保障します。
ポイントは「遊びながら」です。
ただ安全を管理することは指導員に求められていません。
子どもと指導員は一緒に遊ぶ上で、安全を見守る技術が求められます。
一緒に子どもと遊ぶ中で
- ダイコンくんはブランコで手を離してしまう可能性がある…
- トマトくんの近くでハクサイくんが一緒に遊んでいるから気をつけてみておこう(さっきまでケンカをしていたふたり)…
- 高学年がガチンコでサッカーしているそばで一年生が遊ぼうとしている…
というように、指導員は他の子どもと遊んでいるときでも、周りの危険予測をしています。
そんなこと
できるのー⁉
できるというか、これが指導員に求められる技術よ
あらゆることを予測して危険を察知しながら遊ぶのよ
遊びながら
子どもをみる
これらは高い専門性と言えます。
確かに「親戚のおじさん」はここまでできない…
それは一人ひとりに応じた安全面の配慮です。
たとえば、ジャングルジムの3段まで上がることが危険な子どもの状態や状況があります。
しかしジャングルジムの頂上にいても平気な子どもの状態や状況もあります。
一方で、一段上がるだけでも「危ない」という状態や状況もあります。
状況いろいろ
危険度は個人によって異なるべし
そこで
- 子ども一人ひとりの発達面を考慮
- その子自身の安全を守る力(危険回避能力)を育む
これらを指導員は意識します。
それは、子ども自身が「あぶない、やめておこう」と感じられるように日頃から安全について子どもが考える機会を大切にすることでもあります。
子ども自身が安全を育む
指導員はそこで遊ぶ子どもの人数や遊び方まで視野に入れて総合的に安全について配慮することが求められます。
これがポイントね
ここでも日常から子どものことをよく理解しておくことが指導員に求められます。
危ないから、その遊び
全部禁止ーっ!
という生活づくりにならないように、専門的に子どもとかかわり、一人ひとりに応じた安全を配慮しながら指導員は子どもと遊びます。
レベル
たかーい
この差が「親戚のおじさん」と学童保育指導員の安全に対する考え方の違い…と言えます。
子どもと遊びながら、そのあたりを考慮、配慮する力が指導員のあそびの専門性とつながります。
遊びながら、一人ひとりに応じたかかわり…
なかなか難易度が高いわね
遊びながらでも指導員の危機管理能力を発揮するのじゃぞい…
はいレベール
③子どもの主体性
子どもの自主性を促し、主体的に子どもが遊びを展開できるように支援する
それは指導員の遊びの専門性とつながっています。
子どもの
自主性?
主体的?
これがいちばん大事ね。
子どもの「やりたい」とか「自分で…」「自由に…」など。
そんな子どもの思いを尊重し、のばしていくかかわりね
「子どもたち自らが…」
ここがポイントじゃぞい
例えば、よくない例です。
- ブロックで遊んでいる子どもに指導員がブロックでかっこいい飛行機を作ってあげる。
- プラバンづくりで指導員がかわいいキャラクターを上手に仕上げて子どもに渡す。
- 折り紙を子どもに折ってあげる。
これでは指導員が一緒に子どもと遊んでも、専門性が高いかかわりとはなりません。
なぜなら、指導員が一方的に与えてあげるだけのかかわりとなっているからです。
子どもはもらったら
うれしい…
けどこれじゃダメなんだね。
そうね。
一緒に遊びながら、子どもがその活動に取り組めるように指導員は配慮するべきね。
うむうむ。
指導員の仕事は子どもにモノを「与えること」だけではないからのう。
すべて「与えるのがダメ」という極論を述べているのではありません。
大切にしたいことは「子どもの主体性」です。
- ブロックで遊んでいる子どもに指導員がブロックでかっこいい飛行機に興味があるか聞いてみる→どうやったらそれができるかを指導員と子どもで考える
- プラバンづくりで指導員がかわいいキャラクターを上手に仕上げて、まずは「見本」にする→「みんなもがんばれば、こんなかわいいプラバンが完成できるんだよ」という感覚を子どもに伝えて、子どものやる気を引き出す。(きっかけづくり)
- 折り紙を子どもと楽しむ→「一緒につくってみよう」などと指導員が子どもに声をかけて、子どもが「おもしろそう」と思えるシチュエーションをつくる。
このように、指導員が子どもに働きかけます。
きっかけを与えたり、子どもをその気にさせるようなかかわりを大切にします。
これぞ学童保育の「指導」の本来の意味じゃぞい
繰り返しますが指導員は、ただ子どもに遊びやモノを提供するだけの存在ではありません。
子どもが自らの意志で「遊びたい」「楽しそう」「やってみたい」と思えるように指導員は考えます。
そして働きかけます。
意図的なかかわりね
レベル
たかーい
これぞ指導員の遊びの専門性じゃぞい
このような子どもの主体性を大切にしたかかわりは、正月に集まってきた「親戚のおじさん」にはできません。
これらは指導員として実践を積み重ね、専門知識を養う研修等を受けてたプロだからこそ可能となるかかわりです。
指導員の遊びの専門性3点おさらい
指導員のあそびの専門性とは?
ただ子どもと遊ぶだけなら、誰でもできる。
正月に集まった「親戚のおじさん」でも子どもとあそぶ。
その違いは何か?
この3つがその違いじゃぞ
①子ども同士の関係づくり
②安全面の配慮(危機管理)
③子どもの主体性
これらを意識して指導員は子どもと遊ぶことが求められます。
指導員はただ子どもと遊ぶだけじゃだめ
専門的に子どもと遊ぶのね♫
ただ子どもとボーッと遊んでいるだけでは指導員の仕事はつとまりません。
でもぼく…
むずかしい…
今まではただ子どもと遊んできただけだから…
いきなり意識しろって言われても上手くできないよー
学童保育で指導員が子どもと遊ぶことは仕事です。
指導員が子どもと一緒に遊ぶメリットはたくさんあります。
今回はあえてその専門性について考えてみました。
「子どもとただ遊んでいるだけの仕事…」こんな風に思われることに指導員として抵抗を持ちます。
だからこそ、その専門性を明らかにする必要性を感じました。
指導員は高い専門性を持って、子どもと遊んでいます。
しかし本来、指導員としていちばん大切にしたいことは
まずは「自分も楽しく遊ぶ」んじゃぞい
ということです。なぜなら
指導員自身が!!!たのしくないと学童じゃないのじゃぞい…
だからです。
それは子どもに伝わります。
指導員が楽しく子どもと遊んで仕事している姿を子どもはしっかりと感じ、受け止めているものです。
学童保育で子どもは育つ。
指導員も育つものよね
そうなんだね。
ぼくも少しずつその専門性を積み上げていけばいいんだね。
今はしっかり子どもとあそぶよ♪
うーヒョっヒョヒョ
それでよい
むずかしいことはわしが引き受ける
お主らはとにかく全力で子どもと遊びこめばそれでOKじゃぞい
正月に集まった「親戚のおじさん」でも子どもとあそぶ。
その違いは明らか。
それはプロとして子どもとかかわる力。
では具体的にどのように指導員は子どもとあそぶのか。
「ただ子どもと遊んでいるように思われる遊び方を指導員がしていることが問題」
指導員はどのように子どもと遊ぶ?
それを答えよ。
うわー
また何かむずかしーこと言ってきた…
子どもとの遊び方⁉
そういえばあんまり考えたことなかったかも…
うーヒョっヒョヒョ
こらまたおもしろくなってきそうじゃのう。
第6章につづく
がくどうほいくえすと 【登場人物の紹介】
↓なんでもワシに聞いてよいぞい
↓わからないことがわからない…
↓この立場がいちばん大変なのよー
…
【がくどうほいくえすと】は学童保育の基礎や指導員の仕事、学童保育におけるドラマをわかりやすくお伝えするブログじゃぞい。
できるだけたのしく、読めば読むほど為になる。そして元気になれる。
そんな学童保育物語をおぬし等と一緒につくっていくのがワシの使命じゃと勝手に考えておる。
この出会いは運命じゃぞい‼
最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございます。
じゃーねー