子どもの権利条約って何?
学童保育とどう関係しているの?
うんうん
なんだろね…
今日は学童保育と子どもの権利条約についてイオピーマンなりに簡単にわかりやすくお伝えします。
この記事を読むことで、学童保育で大切にされている子どもの権利条約の内容が理解できるようになります。
そうなることで、学童保育の生活の中で、子どもの権利条約にのっとる保育が展開できるようになります。
子どもたちの意見を尊重し、子どもたちが「何もしない」ことも認めることができる指導員になるきっかけが与えられます。
それは、子どもたちの幸せを守る学童保育の生活づくりのことです。
どうぞ、最後までお付き合いください。
子どもの権利条約って何?
子どもの権利条約は、子どもの権利を守る約束ごとです。
この約束を守ることは人間の義務となります。
子どもの権利条約は1989年に「世界中の子どもたちの幸せのため」に誕生しました。
政府訳では、「児童の権利に関する条約」となっています。
子どもの権利条約の基本理念は4本の柱があります。
- 差別の禁止(2条)
- 子どもの最善の利益(3条)
- 生命・生存・発達の権利(6条)
- 意見表明権(12条)
全部で54条まであります。
戦争や貧困の問題から子どもたちを救うために世界中で活用されている条約です。
児童虐待や差別がない社会にしていくための条約でもあります。
日本は1994年に締約国となりました。
そしてそれは全世界の子どもたちが持っている権利です。
今、目の前にいるこの子も、地球の反対側にいるあの子も持っている子どもの権利です。
だから、学童保育所に通う子どもも当然、その権利は擁護されます。
第31条には、休息・余暇、遊び・レクレーション、文化的生活・芸術への参加の権利があります。
それは、「何もしない権利」や「気晴らしの権利」のことです。
それも権利?
学童保育の生活の中でも大切にされる権利のひとつです。
また児童福祉法(第1条)では、「児童の権利に関する条約の精神にのっとり…」と明記されています。
2016年改正ね。
放課後児童クラブ運営指針では、第1章2.(2)「児童の権利に関する条約の理念に基づき…」
というように、子どもの権利条約の精神と規定がきちんと位置づけられています。
画期的‼
子どもの生活づくりの中に、子どもの権利条約の精神が組み込まれることは、素晴らしいことです。
学校教育では
まだまだ…
学童保育は、子どもを尊重し、子どもの主体性を重視した生活づくりを大切にしています。
このことは、子どもの権利そのものです。
その中でも、第3条「子どもの最善の利益」は有名です。
「子どもの最善の利益」とは「子どもにとって1番いいこと」です。
詳しく知りたい方はこちらをどうぞ
そして、「子どもにとって1番いいこと」を考えるとき、「子どもの声を聴くこと」が大切となってきます。
これが第12条の意見表明権に値します。
(第12条)意見表明権と学童保育
子どもたちは自分が思っていることを自由に表現する権利があります。
それは、学童保育の生活でも大切にされています。
子どもたちは、どんな意見や思いも指導員に伝えることができます。
放課後児童クラブ運営指針 第1章3.(4)
「子どもの人権に十分に配慮するとともに、子ども一人ひとりの人格を尊重して育成支援を行い、子どもに影響がある事柄に関して、子どもが意見を述べ、参加することを保障する必要がある」
厚生労働省
とあるように、その声を聴くことは私たちの仕事です。
それは、どんな場面でも考慮されなくてはいけません。
学童保育の生活は子どもたちの意見を聴いて子どもたちとつくっていくものです。
子どもたちの意見や思いが十分に含まれている生活である必要があります。
また、子どもたちは日常であらゆる声や言葉を発します。
うれしい・たのしい・おもしろい・嫌だ・つまんない・ヒマだ・うざい・・・・
これらの言葉や感情も子どもたちは意見として表明する権利があります。
うれしい、たのしい
のポジティブワードだけが認められるわけではありません。
嫌だ
うざい
だるい
などのワードも大切な子どもたちの意見となります。
それも意見?
ただの文句じゃない⁉
不平不満や文句も意見⁉
子どもたちの思いや言葉は、すべて尊重されなくてはいけません。
なぜなら、それは子どもたちの権利だからです。
不平不満や文句も例外ではありません。
うざい
だるい
も子どもたちの意見となります。
意見⁉
ここで、抑えておきたいポイントがあります。
それは、その言葉の裏側の意味に注目することです。
「うざい」という言葉の裏の思いです。
「うざい」と子どもが意見するには、理由があります。
「うざい」と思う何かがあるから、その表現をすると考えます。
その何かは、学童のルールかもしれません。
友だちとのトラブルからかもしれません。
指導員によるお説教かもしれません。
そこを丁寧に子どもに聴きながら、探ります。
「うざい」という言葉に反応するのではなく、その言葉を言わせる子どもの気持ちに反応することが私たちに求められます。
それが、子どもの声を聴く…ということです。
その心の声が、子どもの意見となります。
心も意見…
言葉にしていない声も意見です。
これは、「うざい」という言葉の表現をそのまま受け入れることではありません。
その思いを理解することが子どもの意見を尊重することに繋がります。
不平不満に聞こえる声も、その子たちの意見となる理由はそこにあります。
意見表明権とは、子どもの裏側の気持ちも自由に表現できる権利です。
子どもの権利を守ることは、その裏側の気持ちを尊重することと言えます。
だから「うざい」も意見となります。
使ってほしくない言葉ですが、「しね」もそのひとつです。
これらの言葉の表現には問題があります。
「しね」などの言葉は容認することはできません。
その言葉は、使う言葉ではありません。
しかし、容認するのは言葉ではなく、思いです。
それほどの思いが、その子にあるなら、その気持ちは理解されます。
気持ちはわかるけど、言い方は気をつけよう…ということです。
(第31条)休息・余暇、遊び・レクレーション、文化的生活・芸術への参加の権利
子どもたちは、休んだり、好きなことをしたり、あそんだりする権利などがあります。
【第31条】休息・余暇、遊び・レクレーション、文化的生活・芸術への参加の権利
- 締約国は、休息及び余暇についての児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認める。
- 締約国は、児童が文化的及び芸術的な生活に十分に参加する権利を尊重しかつ促進するものとし、文化的及び芸術的な活動並びにレクリエーション及び余暇の活動のための適当かつ平等な機会の提供を奨励する。
子どもの権利条約(政府訳)
長い名前...
これは、「何もしない権利」であったり「気晴らしの権利」のことです。
また「あそぶ権利」でもあり、「休む権利」でもあります。
そんなのがあるの?
気晴らしの権利
学童保育は子どもたちが自由に好きなことをして過ごせるところです。
無理矢理何かの活動をやらなくてはいけないところではありません。
➡︎学童保育所はどんなところ?放課後は子どもたちの自由な時間‼️
放課後は子どもたちにとって自由な時間です。
それは、あそびに関しても例外ではありません。
子どもたちは、遊ばないといけないわけではありません。
何もしないで、ぼーっと過ごしてもいいのです。
暇でもいいのです。
休んでもいいのです。
よくわからないあそびをしていてもいいのです。
よくわからないあそびというのは、例をあげると
- 消しゴムのカスを丸める
- 棒をけずる
- 穴をほる
- 畳のヘリをなぞる
- ドブをのぞく
などです。
名のないあそびです。
一見あそんでいるように思えないあそびのことです。
これらは、子どもたちにとって大切な「気晴らし」となります。
鬼ごっこやドッジボールなどの活動的なあそびだけが、あそびではありません。
その子が満足できている状態があれば、それでいいということです。
それもあそびです。
何もしない権利
また、それが「何もしない権利」とも結びつきます。
学童保育で子どもたちは何もせずに過ごしてもいいのです。
余暇の過ごし方は自由です。
私たちも休みの日には自由に過ごします。
あれしよ
これしよ
ウキウキ
放課後は子どもたちの自由時間なので、「何もしないこと」を選択した子は、それでいいということです。
一緒にあそぼうよ
と声をかけることは大賛成ですが、その子がやりたくなければやらなくていいのです。
全員あそびも同じです。
みんながあそんでいるからあそばないとだめよ!!
協調性は大切よ!!
という理由を指導員が無理に当てはめる必要はありません。
なぜなら、「何もしないこと」を選ぶ権利が子どもたちにあるからです。
その選択を尊重することが、第31条を守ることに繋がります。
「気晴らしの権利」も「何もしない権利」に関して重要なことは子どもが選んでそれをしているところです。
それには子どもたちの合意や納得が含まれているはずです。
「何もしないこと」にも子どもたちの意見が含まれているということです。
子どもの意見を相応に考慮
子どもたちの意見は、その子に応じて、相応に考慮されなくてはなりません。
なぜなら、一人ひとりの性格や発達段階はみんな違うからです。
子どもたちの年齢や成熟度も、指導員に考慮されることが求められます。
たとえば「何もしない」ことを子どもが選択しても、あとからその意見が変わることがあるとします。
やっぱり一緒にあそびたい
子どもだから、それもありえます。
子どもだから…はポイントとなります。
ここで(第12条)意見表明権を確認してみます。
第12条 意見表明権
1 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
子どもの権利条約(政府訳)
とあります。
注目するところは、青線です。
その意見は、子どもの年齢や発達に応じて、相応に考慮されるというところです。
子どもは子どもなので、発言やその意見の責任を敢えて問われる必要はありません。
気が変わって、当然です。
そこが考慮される必要があります。
例えば小さい子が
犬を飼いたい!!!!
と犬のお世話する責任を考えずに発言することと同じです。
かわいい♬
散歩できるもん!!
これも、意見表明です。
その思いや意思が相応に大切にされます。
相応にとは、その子にふさわしい、その子に応じた分だけという意味です。
犬はかわいいもんね♬
実際に犬を飼いましょう…という話ではありません。
その子の「飼いたい」という意見が尊重されるということです。
だから学童の生活の中で「何もしない」ことを選んだ子どもの意見も相応に大切にされます。
そして同時に気が変わった意見も相応に大切にされます。
1年生と6年生では、表現の仕方は異なります。
0歳と18歳の子どもにも同じように意見表明権は存在しています。
年相応に意見は表明されます。
相応に対応するとは、このことです。
指導員は、子どもたちの意見をこのように相応に受け止めることが求められています。
それは、子どもが子どもだからです。
子どもの意見について、心を寄せて考えることが子どもの権利を守ることにつながっているということです。
まとめ
子どもの権利条約は、子どもの権利を守る約束ごとです。
その基本理念は4本柱です。
- 差別の禁止(2条)
- 子どもの最善の利益(3条)
- 生命・生存・発達の権利(6条)
- 意見表明権(12条)
児童福祉法(第1条)や放課後児童クラブ運営指針(第1章)には、子どもの権利条約の精神と規定がきちんと位置づけられています。
(第12条)意見表明権は学童保育でも重要視されています。
子どもたちは、自由に自分の思いを表明することができます。
指導員は言葉だけではなく、言葉の背景にある子どもの思いまでも聴くことが求められます。
意見は、言葉にならない思いも、その子の意見であるからです。
子どもたちは、「気晴らし」をしたり、「何もしない」権利があります。
(第31条)休息、余暇・・・の権利です。
子どもたちは、自由な時間を自由に使えます。
子どもたちは自分たちで「何もしない」ことも選択できます。
あそびに見えない「あそび」をすることも許されます。
また、子どもたちの意見や気持ちはコロコロ変わるものです。
子どもは子どもだからです。
それらは相応に考慮されるものです。
指導員は柔軟に対応し、その子たちの意見や思いを尊重することが大切となります。
今回は子どもの権利条約の中でも第12条「意見表明権」と第31条「何もしない権利」などについて深めてきました。
子どもの権利について考える場合、大人の都合と照らし合わせることがあります。
私たちは大人なので、どうしても自分たちの都合で、ものごとを見てしまいます。
どれだけ意識をしてみても、いつの間にか自分たちの都合に合わせてしまいがちです。
そこで、日々の振り返りが大切となってきます。
子どもにとって一番いいことは何か?
何度も何度も問い続けます。
それが子どもたちの幸せを守る私たちの使命となります。
どんなときでもです。
学童保育指導員は子どもたちの味方だからです。
最後までお付き合い頂きましてありがとうございます。
じゃあねーっ